2023.03.08

オフィス移転の費用と手続きについて詳しく解説

目次

オフィスを移転すると決まったとき、何からすればいいのか、どれぐらい費用がかかるのか、経験者でもなければわからないと思います。

大まかな流れとして、通常は総務部から移転担当者が選出されて、移転業務にあたります。

引っ越し先の新オフィスが決まったら、現オフィスの管理会社に6カ月前には移転の申告するようにしてください。

もし3カ月前に申告すると、残り3カ月分の賃料を請求される場合があるので注意しましょう。

現オフィスの退去費用と新オフィスにかかる費用について

まず、ここでは移転にかかる費用を説明していきます。
移転費用は大きく分けて以下の3つがありますので、順番にみていきましょう。

現オフィスの退去費用

まず、「現オフィスの退去費用」ですが、こちらは大きく3つの費用があります。

原状回復工費費用

1つめは「オフィスを原状回復する工事費用」です。
オフィスは借りる前の状態に戻すのが原則。オフィスビルによっては、工事業者が指定されている場合もあるため事前に確認してください。

工事費用は、実際のオフィスの規模や工事業者、ビルのグレードなどにより左右されますが、小規模オフィスの場合、坪単価で2万円~5万円くらいが目安。

大型のタワービルなどの大規模オフィスですと、坪単価で4万円~10万円くらいが目安です。

オフィスを明け渡す日までの家賃

2つめが「オフィスを明け渡す日までの家賃」。月の途中で明け渡す場合は、家賃を日割りで計算するのが一般的です。

オフィスを明け渡すまでの水道光熱費

最後に「オフィスを明け渡すまでの水道光熱費」。こちらも賃料と同じで日割り計算です。引っ越し日が決まったら、早めに連絡するといいでしょう。

引越し費用

次に、「引っ越し費用」ですが、こちらは2つあります。

引っ越し費用

1つめは荷物を移動させる「引っ越し費用」で、荷物の量や大きさにもよりますが、社員1人あたり3万円~5万円ほどが目安です。

什器の廃棄処理費用

2つめは「什器の廃棄処理費用」です。オフィスで使用していたものを処分する費用で、2tトラック1台8万円くらいが目安。新しいオフィスでも什器をそのまま使用する場合、この費用はかかりません。

新オフィスの開設費用

「新オフィスの開設費用」は、大きく4つあります。

内装工事費用

1つめは「内装工事費用」。壁や床の工事にかかる費用で、坪単価で10万円~20万円を目安にしてください。

家具購入費用

2つめは「家具購入費用」で、個人用のデスクやチェアの場合は1人あたり10万円~15万円ほどが目安です。オフィス家具のレンタルや中古だともっと抑えられます。

インフラ整備費

3つめは「インフラ整備費」。電気や電話、FAX、インターネット、無線LAN、コピー機などで、1人あたり5万円~7万円が目安になります。

預託金

4つめは「預託金」、いわゆる保証金で、賃料の12カ月分が一般的です。

オフィス移転時に必要な手続きやチェックリスト

オフィス移転時にはミスのないように、あらかじめチェックリストを作っておくとよいでしょう。
チェックリストは大きく4つに分けて作成すると便利です。

現オフィスのチェックリスト

  • 解約予告の時期
  • 預託金(敷金保証金)返還時期
  • 新オフィスへの移転可能時期
  • 原状回復の条件や費用(業者が選択可能か、原状回復の程度、業者の手配など)

新オフィスのチェックリスト

  • 新オフィスの契約申し込み、書類の確認
  • 立地や場所
  • 社員の通勤時間や通勤費用の増減
  • 最寄り駅からの所要時間
  • 周辺の環境(銀行、郵便局、役所の場所、飲食店、商業施設の有無、他の入居テナントなど)
  • 内装工事業者の選定、見積もり
  • 電話、FAX、インターネットの移設業者選定、見積もり
  • オフィスレイアウトプランの作成(社員数、会議室の有無など)
  • 各所への届出、挨拶の準備(各官庁、取引会社など)

内装工事業者・什器・インフラのチェックリスト

  • 費用や工期は適切か
  • レイアウト、スペース配分に無理がないか
  • オフィス家具、什器の発注は無駄がないか
  • 収納スペースに不足はないか
  • 電話、インターネットの移設は引っ越し作業日と調整できているか
  • 電源は使いやすいところにあるか
  • 電気容量は十分にあるか

引っ越し作業時のチェックリスト

  • 全体スケジュール、マニュアルの作成、確認
  • 持っていく物品、残留する物品、廃棄物のリスト作成
  • 廃棄物の処理方法
  • 梱包方法、搬出、搬入方法の確認
  • 社内への指示、作業割り当て、説明会の開催
  • 鍵の受け渡しの確認

オフィス移転のスケジュール

オフィスを移転する場合には、全体のスケジュールと、工事、引っ越しなどのそれぞれの工程表を作ると管理しやすいです。

引っ越しの工程は、まず移転先を検討し決定するところから始まります。

次に責任担当者を選出(総務や役職者から選ばれることが多い)し、大まかな新オフィスのレイアウト図を作成。
レイアウト図は移転専門の業者に制作依頼してもいいでしょう。

また、各部署からリーダーを選出してプロジェクトチームを編成するとスムーズです。

各部署で必要な物品リスト(オフィス家具、電話機、FAX、ネットワーク環境)を作成し、それらの配置を考え新オフィスのレイアウト図面を完成させます。

そのレイアウト図面を基に、電気、電話、ネットワーク環境、内装工事、引っ越しなど専門業者に見積もりを依頼。

見積もりができあがってきたら、今度は工事管理の工程表を作成し、工事を発注します。

スケジュール通り進んでいるかは、工事管理の工程表と照らし合わせて、常にチェックしましょう。

移転先の環境が整ったら荷造り、引っ越し作業に取りかかります。

関係官庁や金融機関への手続きも済ませておきましょう。

たとえば、法務局(本店移転登記)新旧オフィスの税務局(異動届)都税事務所(異動届)社会保険事務所(事業所所在地変更届)労働基準監督署(各種所在地変更届)職業安定所(雇用保険事業所変更届)郵便局(郵便物届出変更届)などです。

また、旧オフィスの原状回復工事も進める必要がありますし、リースしていたものの返却、オフィス家具や廃棄物の処理もきちんとスケジュール管理し、きれいにしてから引き渡しましょう。

オフィス移転のお知らせや基本的マナーについて

オフィスの移転先が決まり次第、新しい住所が入った名刺、封筒、印鑑などを印刷会社に発注しておきましょう。

また、移転の挨拶状を取引先に送ることも忘れずに。ビジネストラブルを避けるためにも、移転する1カ月から2週間前までには相手にお知らせするのがマナーです。

挨拶はメールやFAXでも差し支えはありませんが、親しい関係以外の場合は、改まったかたちのはがきで送るのがベター。

挨拶状は取引先に誤解や混乱を与えないよう、適切なタイミングで、正確な情報をしっかりと伝えるようにしましょう。

また、事務的な内容だけにならないように、日頃の感謝や今後のお付き合いのお願いのメッセージを加えるのもポイントです。

オフィス移転の挨拶状で書くべきポイントは3つ。

  • 日頃のご愛顧のお礼
  • 移転のお知らせ(新住所、電話番号、新住所での営業開始日、地図)
  • 今後の抱負、以前と変わらぬお付き合いのお願い

次に、挨拶状によく使われる例文をいくつか紹介します。

はがきに比べて、メールの場合は少し砕けた文章でもかまいません。

はがき編の場合

拝啓 ○○の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度 ○月○日より下記住所へ弊社事務所を移転し営業いたします。
日頃のご愛顧に報いるべく 社員一同気持ちを新たに倍旧の努力をしてまいりますので、今後とも一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
敬具
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拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てにあずかり 厚くお礼申し上げます。
この度○月○日より 弊社事務所を下記住所に移転いたしますことをご報告させていただきます。
皆様の信頼にお応えできるよう 心機一転 新たな場所で一層邁進してまいります。
今後とも何卒ご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
敬具

メールの場合

いつもお世話になっております。
この度弊社は、○月○日より下記住所に移転いたします。
これを機に、社員一同さらなる飛躍を目指し精進いたしますので、今後とも変わらぬお付き合いをよろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら、ご報告とさせていただきます。
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平素は格別のお引き立てを賜り厚く感謝申し上げます。
さて、この度弊社は○月○日より下記住所へ移転することとなりましたので、ご報告いたします。
新たな環境で、皆様にさらにご満足いただけるよう、従業員一同努力いたします。
今後とも、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
メールにて恐縮ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。