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近年では業務用複合機を企業内の無線LAN機能を利用してパソコンと連携させ、
ネットワーク接続も快適に行えるようになっています。
このネットワーク環境を構築するのに欠かせないのが「IPアドレス」です。
IPアドレスが正しく設定されていないとスキャンや印刷をした際に思わぬトラブルが発生することもあります。
この記事では業務用コピー機のIPアドレスの確認方法と、外部からの不正アクセスを防ぐための対策について解説します。
複合機のIPアドレスはどうやって調べればいいの?
まず、複合機のIPアドレスをどのように調べれば良いのかについて、
例として富士ゼロックスの複合機を利用して複合機本体の液晶パネルから確認する方法について解説します。
なおIPアドレスの確認方法については各メーカーや機種によって異なる場合があるので、
使用している複合機の取扱説明書を参考にしてください。
富士ゼロックスの複合機でIPアドレスを確認するにはまず「認証」ボタンを押した後で「機械管理者UserID」を入力します。入力したら「仕様設定/登録」「仕様設定」「ネットワーク設定」「プロトコル設定」と順にボタンを押していくと、「TCP/IP-IPアドレス」という欄で確認することができます。
IPアドレスの取得方法には「DHCP」と「手動」の2通りあり、公住出荷時は「DHCP」に設定されています。
DHCPサーバーが設定されていれば自動でIPアドレスを取得しますが、
何も設定されていないのであれば手動に設定しなければいけません。
またIPアドレスを確認するには「機械確認」ボタンを押して、
「メーター確認レポート出力」タブから「レポート/リストの出力」「プリンター設定」の順にボタンを押し、
「機能設定リスト」を押すと、リストが出てくるので、リスト内の「コミュニケーション設定」で確認することも可能です。
ネットワーク接続が上手く出来ない原因はIPアドレスにあり?
社内でネットワーク説促ができないといったトラブルはよく起こるものの1つですが、
突然ネットワークがつながらなくなる原因の1つにIPアドレスがあります。
特にIPアドレスの接続設定が「動的IPアドレス」になっている場合はこのトラブルが起きやすいです。
動的IPアドレスに設定した場合は立ち上げた時に自動で最適と判断したIPアドレスに接続しますが、
時には何の前触れも無くIPアドレスが変更されることもあります。
IPアドレスが変更されてしまうと当然あらかじめ設定しているアドレスとは異なるため、
インターネットにうまく繋がりません。
複合機の場合は印刷データを送信しても印刷されなかったり、
スキャンデーターをパソコンに取り込めないといったトラブルが発生します。
また、オフィスのインターネット環境を光回線などに変更した場合もIPアドレスの変更や再設定が必要になることもあります。ネットワーク通信を正常に行うためにはIPアドレスの設定を適切に行う必要があります。
複合機のIPアドレスが頻繁に変更されるのを防ぐ方法
安定したインターネット環境を維持する方法にはいくつかの方法があります。
一例としてOKI製の複合機でアドレスの変更を防ぐための手順について解説します。
複合機の固定IPアドレスを手動で設定する
複合機のIPアドレスが変更されるのを防ぐ手段の1つに、IPアドレスを手動で設定するという方法があります。
手動で設定するようにしておけば、立ち上げた時などに勝手にIPアドレスが変更されるようなことはありません。
ここではネットワーク管理者やプロバイダに、装置で使用するIPアドレスとゲートウェイアドレス、
サブネットマスクを問いあわせて手動で設定する方法を解説します。
まず「管理者設定」ボタンを押して管理者名と、パスワードを入力します。
次に「ネットワーク管理」を押し、「ネットワーク基本設定」「IPアドレス設定」の設定値を「手動」に変更してください。
「ネットワーク基本設定」の「IPv4アドレスの設定値にIPアドレスを入力、
「サブネットマスク」の設定値にサブネットマスクを入力、「ゲートウェイアドレス」の設定値にゲートウェイアドレスを入力するとネットワークカードを初期化する画面が表示されるので「OK」ボタンを押します。
IPアドレスが変更されたらパソコンのプリンターの「プロパティ」画面にて新しいポートを作成し、
必要な設定をおこないましょう。
複合機のショートデバイス名を用いて接続設定をする
複合機のショートデバイス名を用いる事でも自動でIPアドレスが変更されることを防ぐことができます。
複合機のブラウザを立ち上げて、アドレス欄に「http://(装置のIPアドレス)」を入力したらEnterキーを押します。
次に「装置情報」から「ネットワーク」をクリックし、「一般情報」の「ショートデバイス名」をメモしておきます。
ショートデバイス名をメモしたら、プリンターの「ポート」タブで「ポートの追加」ボタンをクリックし、
新しいポートを追加しましょう。
すると「標準TCP/IPプリンターポートの追加ウィザード」画面が表示されるので、
後は指示に従って設定を進めていけば完了です。
複合機のIPアドレスを自動取得できるように設定する
今度は複合機のIPアドレスを自動で取得するための設定方法を解説します。
例としてOKIの「OKI LPRユーティリティ」という専用ソフトを用いて自動取得できる様に設定する方法を確認していきましょう。
まず、沖データのホームページから「OKI LPRユーティリティ」をダウンロードします。
インストールを終えたら起動し、「リモートプリント」メニューから「プリンターの追加」をクリックしてください。
「プリンター名」から装置のプリンタードライバーを選択後、複合機のIPアドレスをIPアドレス欄に入力します。
次に「オプション」メニューから「設定」を選択したら「自動的にIPアドレスを再設定する」の欄にチェックを入れ、
「OK」をクリックすれば設定は完了です。
複合機のIPアドレスはセキュリティ対策も万全に
一般的な業務用の複合機はインターネット環境を利用してオフィス内のパソコンなど各機器との接続をおこなっています。
そのためセキュリティ面に関しては十分な注意を払わなければいけません。
ここからは外部からの不正アクセスを防止するためのセキュリティ設定について解説します。
管理者パスワードを変更する
複合機には一般ユーザー機能と管理者機能が設けられていて、このうち管理者機能では複合機の基本設定の他、
コピー機能やFAX機能の詳細設定やインターネットFAX設定などを変更できる権限を持っています。
これらを変更するためには管理者パスワードを入力する必要ですが、
パスワードを初期のまま変更していないと外部から不正アクセスされる可能性が高まり、
場合によっては会社の機密データなどが盗まれる恐れがあります。
管理者IDやパスワードの変更は複合機本体の画面で行うことができますが、
変更したパスワードはメモするなどしてしっかりと管理しておきましょう。
忘れてしまうとメーカーに問い合わせる必要が出てくるなど、余計な手間と時間がかかります。
プライベートIPアドレスを設定する
IPアドレスの種類の1つに「プライベートIPアドレス」というものがあります。
プライベートIPアドレスはオフィス内など限られた環境のみで有効なアドレスなので、
外部から不正に侵入されることはありません。
プライベートUIPアドレスの範囲は(010.000.000.000~010.255.255.255)(172.016.000.000~172.031.255.255)(192.168.000.000~192.168.255.255)のいずれかになっているので、
IPアドレスがプライベートIPアドレスの範囲内になっているか確認してみましょう。
ユーザー認証を設定する
ユーザー認証を利用することで複合機の使用期限を個人または組織レベルで付与することができ、
結果的に機能の利用を制限して複合機を保護することができます。
ただしコピーやFAXなど通常の機能を使用する時にも制限がかかるため、
利用したいユーザーは個別にユーザー名やパスワードの設定を登録する必要があります。
ファイアウォールを設定する
ファイアウォールは外部から組織内のネットワークへの攻撃や不正侵入を防止するシステムです。
適切なセキュリティ設定を行うことによって外部への情報漏洩やデータのハッキングといった問題を未然に防ぐことができます。
複合機の本体画面によってファイアウォールの設定が可能になってはいますが、
この機能が使えるのは一部のメーカーの機種に限られています。
導入前に設定が可能かどうかの確認をしておくと良いでしょう。
IPアドレスを正しく設定して安心安全なネットワーク接続を!
ここまで複合機のIPアドレスの確認方法や設定手順について解説してきました。
IPアドレスを適切に設定、変更することによって日々の業務の効率化が図れ、
セキュリティ対策をしっかり行うことでネットワークの安全性の向上に繋がります。
オフィスでのセキュリティに関しては管理者IDパスワードが初期設定のままだったりとまだまだ甘さがみられるのが現状です。自社の情報を守るため、IPアドレスの設定は適切におこないましょう。