目次
普段何気なく使っているコピー機ですが、いざその仕組みを知っているかと聞かれると、
そうではない方が多数を占めるのではないでしょうか。
この記事では、現在普及しているコピー機について今一度紐解き、理解できるようお助けします。
また、コピー機の構造の中でよく故障を起こしやすい部分も解説しますので、
今お使いのコピー機の故障の対処法として、ぜひこの記事をお読みください。
現在主流なのはPPC複写機というもの!
現在主流となっているのはPPC複写機というタイプのコピー機です。
PPCとは「Plain Paper Copier」の略で、「普通紙複写機」と訳します。
20世紀半ばに誕生した画期的な技術を使っており、使い勝手の良さから普及しました。
かつてのコピーは、手書きかワープロによりインクを使った転記が必要であったため大変な作業を伴いました。
そこで「C.F.カールソン」によって発明されたのが「ゼログラフィー」という技術です。
ゼロとはギリシャ語で「乾燥」を意味し、その名の通り液体を使いません。
この技術はそれまでの複写方式とは一線を画す技術となりました。
PPC複写機の良い点としては、薬品を塗布しておらず普通の紙を利用できること、
複写物を長期保存しても劣化が少ない、厚いものや両面刷りにも対応できる点などが挙げられます。
PPCでもアナログ式からデジタル式へ進化!
コピー機のスキャナ部は原稿に光を当て、それによって得られる反射光の明暗で文字や絵を読み取っています。
アナログ式では、原稿からの反射光を感光体ドラムというインクを紙に転写させる筒に直接当てていたため、
同じ原稿でも印刷するたびに光を当てスキャンする必要がありました。
しかしデジタル式では、反射光をCCDと呼ばれるセンサーが読み取り文字や絵を一度デジタルデータとして記憶しています。
露光ではデジタルデータから作ったレーザー光を当てるだけなので、原稿のスキャンが一回で済むようになり、
汎用性が極めて高くなりました。
コピー機内で行われている一連の現像動作
おおまかなコピー機の概要が分かったところで、もう少し詳しく掘り下げてみましょう。
ここからは富士ゼロックスの製品を例に、コピー機の一連の現像動作について解説していきます。
帯電
まず最初に、感光ドラムという筒状の部品の表面にマイナスの電気を帯びさせます。
露光
静電気を帯びた感光ドラムにレーザー光を当てます。
この時印刷したい文字や絵の形にレーザー光を当てますが、光が当たった部分だけ静電気がなくなった状態になります。
ちなみに、このプロセスでレーザービームを使用するために「レーザープリンター」と呼ばれます。
現像
露光で静電気がなくなった感光ドラムの部分にトナーを近づけ吸着させます。
これにより、印刷したい文字や絵の部分にトナーが移動します。
転写
現像で感光ドラムに吸着させたトナーを紙に写します。
この時ドラムに帯電させたものとは逆の電荷を紙に与えることで、トナーが紙に吸い寄せられ転写を行います。
定着
転写の状態では、まだトナーは用紙に載っているだけの状態です。
そこで熱や圧力を加え完全に付着させます。
アイロンのようなものをイメージすると良いでしょう。
コピーしたての紙がほんのり温かいのは定着過程で熱を与えているからなのです。
清掃
用紙の転写が済んだ後、コピー機はもうひと仕事して次の印刷に備えます。
感光ドラムに残ったトナーをきれいに除去する工程で、おおまかに二段階に分けられます。
まずは感光ドラムに残った電荷を除去することによって、トナーを落ちやすくします。
次にクリーナーブラシで残留トナーを取り除き、ドラム表面は完全にきれいになります。
このクリーニングの過程で不良が起こると、感光ドラム表面でフィルミングという現象が発生してしまいます。
フィルミングとは感光ドラムの表面に薄くトナーが伸ばされて付着する状態のことで、
感光ドラムの寿命を縮めることになるので注意しましょう。
コピー機によくある不具合と対処法
ここまでコピー機の仕組みについて解説してきました。
ここからはコピー機のよくある故障ケースを紹介するとともに、不具合を起こしやすい場所を解説していきます。
紙が詰まる
コピー機の故障原因として最も多いのが紙詰まりです。
紙詰まりの原因は、大きく二つに分けることができます。
一つ目は、紙を送るローラーが劣化している場合です。
この場合は段々と紙詰まりの頻度が上がってくるようになりますので、
「最近紙詰まりが多いな」と感じるようになったら要注意です。
ローラーを交換する必要があるため速やかに修理を依頼しましょう。
二つ目は、破損した紙がコピー機の奥の方に詰まってしまう場合です。
可能であれば給紙カセット、原稿の取り出し口などを開いて中を確認してみてください。
自力で詰まった紙を取り除ければ良いのですが、
何度も紙が詰まってしまう場合は分かりづらい場所に詰まっている可能性が高いです。
放置していると異常な動作をする可能性があるため、早めに修理を依頼しましょう。
印刷物に汚れや線が入る
コピー機を使って綺麗な印刷ができない、白抜けがあるなどといった場合は、
感光体ドラムの劣化や損傷が原因かもしれません。
感光体ドラムはトナーを紙に吸着させる部品なので、ドラムの汚れは印刷物に影響を与えやすいです。
また感光体ドラムは消耗品であるため長く使っていくにつれて不具合を起こしやすくなります。
不具合がひどくなる前に、余裕をもって交換することをおすすめします。
印刷物のトナーが落ちたり紙にしわが入る
「印刷物に触ると指にトナーが付着する」、「紙にしわが入る」という症状もよくあります。
この二つの不具合に共通していると考えられる原因は定着ユニットの不良です。
定着ユニットとは、紙に乗せたトナーをローラーで圧着させる「定着過程」を担う部品です。
消耗品であるため、不具合がでるようになったら早めに交換するようにしましょう。
紙にしわが入ることに関しては、ケアレスミスの可能性も視野に入れましょう。
用紙トレイのガイドが外れていませんか?
しっかり固定されていないと機械の中で用紙が動き、しわが入る原因となります。
いつも同じサイズの用紙にしわが入るのであれば可能性が高いのでチェックしましょう。
また、湿度という環境要因による場合もあります。
湿度が高いと紙がよれたり波うったりするので、それがしわにつながってしまうのです。
対策として、紙をなるべくこまめに補充することをおすすめします。
コピー機の寿命は5年?
コピー機の寿命は確かに5年が目安と言われていますが、これは必ずしも正しいとは限りません。
コピー機の寿命は使用年数だけでなく、印刷枚数の総量によっても判断されるべきであるためです。
日々の印刷枚数が多ければ内部部品の劣化も早まります。
一般的には五年間での印刷総量は300万枚と言われており、これを基準として印刷ペースがはやいか遅いかを考え、
買い替え時期の目安とすると良いでしょう。
また厚みのあるものを印刷することが多いなど、場合に応じて劣化は早まります。
それぞれの使い方に応じて対応することが望ましいと言えるでしょう。
コピー機の故障に困ったら?
ここまでコピー機の構造から細かい動作、不具合を起こしやすい場所、故障したときの対処法を解説してきました。
仕組みについて理解しているだけで突然のアクシデントにも備えることができます。
複雑な機械ゆえに自力ではどうにもならない場合もありますが、そんなときは無理をせず修理業者に依頼しましょう。
その時にもコピー機についての知識は必ず役に立つはずです。
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